造影CT検査

・単純CT検査で見ることができるものは意外に多くない

脳出血、副鼻腔領域、骨折、肺炎、肺病変のフォローアップなど

・病変の全身検索はやはり造影検査で、感染症、腸管虚血、血栓症、腫瘍性病変など単純CT検査に比べると得られる情報量が多い

・造影CT検査を施行できないケース

→造影剤ショック、重篤な造影剤アレルギー(呼吸苦を呈するもの)の既往や、腎症G5:eGFR<15の場合。

・eGFR<60のケースでは造影剤腎症のリスク因子となるため、十分な補液などの予防策を取る:生食500mL+メイロン1A20mLなど

・メトホルミン投与中の場合はeGFR<30では禁忌、eGFR:30~59では前後48時間の休薬が必要となる。

※造影MRI:eGFR<30がNSFのリスクのため禁忌、透析も禁忌になることに注意

めまいの鑑別とEpley法

・病歴聴取が重要で、「発症形式」、「増悪因子」、「持続時間」から3タイプに分類する。

①急性前庭症候群:急性発症、数日以上持続する、嘔吐、ふらつき、眼振あり→前庭神経炎、椎骨動脈領域の虚血など

②自発性発作性前庭症候群:誘因なく発生、発作性で数分~数時間持続する。→メニエール病、前庭性片頭痛など

③誘発性発作性前庭症候群:頭位変換時など特定の誘因下で発生、持続時間は1分以内が多い→BPPV

・急性前庭症候群の鑑別:垂直眼振(+)、skew deviation(+)(座位での眼球の垂直変位)、Head Impulse Test(-)、神経学的所見(+)(構音障害、複視、感覚運動障害など)、歩行障害 当てはまるものが一つでもあれば中枢性を鑑別に入れる

・Epley法:ベッドに長座位で座ってもらう。頭部を患側に向けた状態でそのまま上体を倒していき、懸垂頭位の状態にする。発作が誘発される(これがDix-Hallpike test)が症状が改善するまでそのままの状態でいてもらう。その後懸垂頭位のまま頭部を健側に向けていき2分間その体勢を保つ。横になったまま足をベッドから下ろしてもらい足を地面につけた状態で身体を起していく。

・Head Impulse Test:検査者の目を見てもらった状態で頭を素早く回旋させる→目線が外れたなら末梢性(前庭神経症状)を示唆する。目線が外れない場合は正常または中枢性(Stroke)を考える。

腎性貧血

・貧血に加えて腎機能障害(eGFR<60)がある場合に疑う

・治療は赤血球造血刺激因子製剤(ESA:ダルベポエチンなど)を使用する。鉄欠乏性貧血がある場合は先に鉄の補充治療を行う

・鉄欠乏の有無はMCVとFe、TIBC及びフェリチンから評価する。

・トランスフェリン飽和度(TSAT)=Fe/TIBC×100(%)で、通常20%以上

・フェリチン(貯蔵鉄を反映)通常100ng/ml以上

・TSAT↓、フェリチン↓の場合は鉄の絶対的な欠乏があり鉄の補充(鉄剤内服かフェジン静注)が必要である。

・TSAT↓、フェリチンは十分量ある場合は慢性炎症などによる鉄利用障害が考えられる。

血液透析患者では、Hb値10~12 g/dlを目標にする。高すぎても心血管イベントのリスクが高まるという報告がある。

 ・2019年頃より使用され始めた新薬のHIF-PH阻害薬は、エリスロポエチン産生を増加させるHIF:低酸素誘導因子が、PH:プロリル水酸化酵素により分解されるのを阻害する。HIF-PH阻害薬の一つのエベレンゾの薬剤名は世界最高峰のエベレストから連想されたらしい。副作用として血栓傾向、悪性腫瘍、網膜出血がある。

 

中心静脈カテーテル

手順

①事前にエコーで穿刺部の血管を確認する。

②清潔下で器材準備、穿刺時に血管に触れる器材(穿刺針、ガイドワイヤー、CVカテーテルなど)にはすべてヘパリン加生理食塩水を通しておく。局所麻酔薬(1%プロカイン塩酸など)穿刺時にエコーが必要であればカバーを被せておく。

③穿刺部の消毒、覆布を被せる。

④局所麻酔薬にて麻酔をかけながら試験穿刺も行う。麻酔薬を入れる際はその都度シリンジを引いて逆血がないことを確認しながら入れる。局所麻酔薬を静注することになってしまう。

⑤穿刺針で目標とする静脈を穿刺する。当たったところから少し進めてから内筒を抜去して外筒を進める。

⑥内筒を抜き取ったらすぐにガイドワイヤーを挿入する。この際穿刺部の外筒は左手でしっかりと固定して目を離さない。ガイドワイヤーは横に置くか補助者に持ってもらいすぐに右手で挿入する。ここからワイヤーを持っている手は絶対に離さないようにする。

⑦透視下でガイドワイヤーの先端の位置を確認する。

⑧外筒を抜いてくる。

⑨穿刺部にメスで小切開を加える。ほんの少し押し付けるくらいで良い、ワイヤーを傷つけないように注意する。

⑩ダイレーターにて穿刺部を拡張する

⑪CVカテーテルを挿入する、この時ガイドワイヤーが心房内に入らないようにワイヤー抜き取りながらCVを進める。

⑫CVカテーテル先端が目標部位まで到達したことを確認してガイドワイヤーを抜く。

⑬CVカテーテルから逆血があることを確認した上でヘパロックする。

⑭透視下でCVの先端部位を調節して適切な位置で挿入長を確認して固定する。

⑮終了後は単純X線写真を1枚撮っておく。

 

※動脈を穿刺した可能性が少しでもあれば一度抜去するか血液ガスで即時に確認する。ダイレーターは静脈であると確証が得られるまでは入れない。

※エコーで確認した深さよりも針を進めないように注意する。

・鎖骨下静脈:穿刺時はカテーテルの迷入を防ぐために首を穿刺する側から反対方向に向けてもらう。肺を刺さないように万全の注意を。

・ランドマーク法:鎖骨の中点から胸骨角に向けて穿刺 

・大腿静脈:重要臓器、血管が周囲に少ないため誤穿刺のリスクは他に比べると少ないが、良い穿刺点を見つけるのが難しい。下肢を股関節で外旋してもらうと刺しやすい。

カテーテルの挿入長:内頚静脈、鎖骨下静脈(どちらも右側だとして)は15㎝弱、大腿静脈は40~50cm

血液ガス分析

動脈血ガス(ABG)

・PaO2 80Torr以上で正常、室内気なら60Torr以下で呼吸不全

・PaCO2 35-45Torrで正常、呼吸不全ではCO2非貯留(PaCO2 45Torr未満)の場合は1型呼吸不全、CO2貯留は2型呼吸不全と分類できる。

・PaO2とSPO2の覚えるべき対応する数値:(90~100Torr→99%、80Torr→95%、60Torr→90%、40Torr→75%)

・酸塩基平衡が崩れている場合は呼吸性か代謝性かをまず確認。pHとPaCO2が自然な動きをしていれば(PaCO2↑なら酸性に傾くのでpH↓、PaCO2↓ならpH↑)、呼吸性と考えられる。

・乳酸値:正常値5-15mg/dlで、mmol/Lに換算するには9で割れば良い

・静脈血ガスはPaO2 40くらい、PaCO2 50くらいなのでAと間違えてVを穿刺した場合は数値を見ればすぐわかる、HCO3とHbを見たいなら静脈血でもOK

・検査施行時は必ず条件(room airなのかO2投与下なら毎分何Lかを記載する)同じデータでもroom airと毎分5Lでは全く評価が変わる

・人工呼吸管理の際は肺胞での換気の指標としてP/F比も有用である。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)はP/F比が300以下で軽症、200以下で中等症、100以下で重症となる。

・中心静脈穿刺時は穿刺した血管が静脈かどうかの確認に血液ガス分析を使用するのも一手である。

急性咽頭炎

急性咽頭炎の原因としてウイルス性が多く、ウイルス性の場合対症療法のみで可

 

Centor ScoreでA群β型溶連菌の可能性が高いかを評価

①BT38↑、②咳嗽(-)、③頸部リンパ節腫脹・圧痛、④扁桃腫大、滲出物(+)、⑤15歳未満

各1点で2点以上で咽頭ぬぐい迅速抗原検査を行う(※45歳以上ではマイナス1点)

 

・細菌性咽頭炎の処方例

アモキシシリン(ペニシリン系)250mg 3t/3x

セファレキシン(第1世代セフェム系)250mgまたは500mg 3t/3x

どちらも合併症予防のため、10日間の抗菌薬治療(飲み切ってもらう)

EBウイルスを除外できていなければセフェム系が無難

 

症状軽快後も腎症、リウマチ熱に注意(1か月後くらいに再度受診とする)

微量輸液

ドパミン(1〜10γ程度)

少量(1-3γ)はD受容体へ(利尿効果)
中等量(3-8γ)はβ受容体へ
それ以上ではα受容体へ優位に作用
中等〜高容量では心収縮UP、脈拍UP、血管収縮UPで昇圧作用
大抵3-5γくらいで使っていた
ex)
1Aで100mg/5ml、これを生食でtotal 33mlになるよう希釈すると100mg/33ml≒およそ3mg/ml
60kgの人で、1γ=3.6*(1/3)=1.2ml/hに
ここの掛け算は基本的に濃い薬剤ほど少量でOK、薄い薬剤ほどたくさん使う必要あるので3mg/mlでは1mg/mlに比べて1/3の量で済むと考えると自然に感じる
ドパミンに比べるとごく少量で効く
α作用(血管収縮)が強いのでショックの第一選択になるらしい そんな事態に遭遇しないのがベストではあるが
ex)
1Aは1mg/ml
よく使われるのが「3A50ml」
3A:3mg/3mlを生食でトータル50mlに、濃度は0.06mg/mlになる
60kgの人で1γ=3.6*(1/0.06)=60ml/h
0.05γ=3ml/hとキリが良い
10A50mlであれば、
60kgで1γ=3.6*(1/0.2)=18ml/h
0.05γ=0.9ml/h
 
オピオイドでμ受容体に作用
副作用に呼吸抑制と嘔気があるため注意、薬剤指示入れる時は呼吸数チェックも忘れずに書く
1A:0.1mg/2ml
2A:0.2mg/4mlをトータル50mlにして毎時2ml/hから開始する(1日量0.1mg)
疼痛強い時は1h分の量を早送り(レスキュー)とする 繰り返し起こる場合はベースアップを検討
※意識レベルと呼吸数(10回切らないようにする)は定期的に確認させる